その1 産業廃棄物収集運搬業許可
許可の必要な地域
収集運搬業の許可は、廃棄物を積み込むところ(排出事業者)とおろすところ(処分先)を管轄する都道府県の許可を受ける必要があります。
例えば、大阪府の排出事業所から出る廃棄物を兵庫県の処分業者まで運搬する場合は、大阪府と兵庫県の許可が必要となります。途中、通過するだけの自治体の許可は必要ありません。
建設業が本業で収集運搬業を兼業する場合は、現場として予想される都道府県の許可を受けておく必要があります。
許可の要件
1 収集運搬の用に供する施設があること
① 施設に関する基準
次の区分に従い、必要な施設(運搬車・運搬容器等)を有する必要があります。
産業廃棄物収集運搬業 |
産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。 |
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特別管理産業廃棄物収集運搬業 |
① 特別管理産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。 ② 廃油、廃酸又は廃アルカリの収集又は運搬を業として行う場合には、当該廃油、廃酸又は廃アルカリの性状に応じ、腐食を防止するための措置を講じる等当該廃油、廃酸又は廃アルカリの運搬に適する運搬施設を有すること。 ③ 感染性産業廃棄物の収集又は運搬を業として行う場合には、当該感染性産業廃棄物の運搬に適する保冷車その他の運搬施設を有すること。 ④ その他の特別管理産業廃棄物の収集又は運搬を業として行う場合には、その収集又は運搬を行おうとする特別管理産業廃棄物の種類に応じ、当該特別管理産業廃棄物の収集又は運搬に適する運搬施設を有すること。 |
必要な車両等 |
ダンプトラック、吸引車等の車両、ドラム缶、フレキシブルコンテナバック等の容器など産業廃棄物の性状、形状、量に応じた施設(車両及び容器)が必要です。また、『感染性産業廃棄物』は専用密閉容器と保冷車や密閉車両が必要となります。 |
認めていない車両 |
塵芥車(パッカー車)での『がれき類』、『石綿含有産業廃棄物』の運搬は認められません。 『がれき類』、『鉱さい』、「石炭がら」及び「砂利(砂及び玉石を含む)又は砕石をアスファルト又はセメントにより安定処理したもの」を「土砂等禁止」の車両で運搬することは認められません。 |
② 施設の使用権原等について
申請者は、継続して施設の使用の権原を有している必要があります。
ア |
車両は、自動車検査証の使用者と申請者が同じである必要があります。自動車検査証の使用者が申請者と異なる場合は、車両の賃借等に関する証明書により使用の権原を明らかにする必要があります。 |
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イ |
他の事業者が登録した車両は、使用(登録)できません。 |
ウ |
収集運搬の用に供する車両の保管場所を確保しておく必要があります。 |
エ |
申請者と車両の運転者との間には雇用関係が成立していることが必要です。 過去には、申請者Aとは雇用関係のない者Bが、車両をAに貸し、Bが同車両を運転して産業廃棄物の収集運搬をしていたという件で、AおよびBが廃棄物処理法上の違法性を問われて逮捕された事例があります。 |
オ |
事業用自動車(いわゆる緑ナンバー車)を貸し借りするためには、事前に貨物自動車運送事業法に基づく手続を行うことが必要です。 |
(2) 産業廃棄物処理業許可取得のための講習会を受講していること
受講対象者
申請者が法人 |
代表者又は産業廃棄物の処理に関する業務を行う役員もしくは業を行おうとする区域に所在する事業場の代表者。 |
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申請者が個人 |
当該者又は業を行おうとする区域に所在する事業場の代表者。 |
下記講習会の修了証等の写しが必要です。
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産業廃棄物収集運搬業 |
特別管理産廃収集運搬業 |
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新規 |
更新 |
新規 |
更新 |
産業廃棄物収集・運搬課程(新規) |
○ |
○ |
△ |
○ |
特管産業廃棄物収集・運搬課程(新規) |
○ |
○ |
○ |
○ |
廃棄物収集・運搬課程(更新) |
● |
○ |
● |
○ |
廃棄物管理士講習 |
● |
○ |
● |
○ |
特別管理産業廃棄物管理者講習 |
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○ |
△、● |
○ |
安全衛生管理規程等の写し |
● |
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● |
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※政令市に対して申請する場合には、上記に関わらず、かならず事前にご相談下さい。
○・・・・・その講習会の修了証のみで要件を満たすもの
●△・・・同じマークの講習会の修了証等を組み合わせることで要件を満たすもの(講習会の修了者は同一の者である必要はありません。)
(3) 経理的基礎があること
産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有することが必要です。
「少なくとも債務超過の状態でなく、かつ持続的な経営の見込み又は経営の改善の見込みがある」ことが求められています。(平成25年3月29日付環廃産発第13032910号)
これらの観点を踏まえて経理的基礎の有無を判断しますので、債務超過の状態である場合については、追加資料を求めます。必ず事前にご相談下さい。
(4)欠格要件に該当しないこと
申請者(法人の役員、株主又は出資者、政令で定める使用人も対象)が各種の欠格要件のいずれにも該当しないことが必要です。
なお、許可後においてもいずれかに該当した場合、当該許可の取消しなどの処分がなされます。
(5)その他の注意点
収集運搬業の許可は、積替え保管ありとなしに分かれます。積替え保管施設を設ける場合は、中間処理施設に準じた手続きが必要になりますので、積替え保管なしの場合の許可申請の手続きとは分けて考える必要があります。
申請に当たっては、排出事業者と処分業者の予定を決めておく必要があります。
ほとんどの自治体で、どの都道府県市の排出事業場から産廃を収集し、どこの処理施設に持っていくかの記載を求められます。この記載により、許可を受けられる廃棄物の種類が決まるのです。
処分先についても、その廃棄物の種類に対応した許可をもっている業者を選ぶ必要があります。
申請書には、処分先業者の許可証を添付する必要がある自治体が多いのでご注意下さい。また、石綿含有産業廃棄物や自動車等破砕物などに関しては、排出事業者と処理先がないと、それらを除く限定が付く場合もあります。
その2 積替え・保管の許可
積み替え保管の許可要件は、自治体によって対応が異なるため明確な基準がないのが現状です。
そのため、いざ積み替え保管の許可申請をしようとしても、正確な情報が集めにくく、お困りの事業所がとても多いです。
また、役所の担当窓口が多いため、非常に手間と時間が掛かることも、積み替え保管の許可申請を難しくしています。
当事務所では、時間を要する行政との交渉から、申請書類作成まで全てお任せいただけます。相談は無料、現地確認も同行させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
講習会の開催場所と日程
産業廃棄物処理業を申請する上で絶対的に必要となるのが講習会修了証です。
新規申請の場合は新規の講習会を経て修了証を得ることが必要です。更新申請なら許可更新日の前に更新の講習会を受けることが必要となります。
下記に、直近の講習会の日程が記載されているサイトのURLを添付いたしますので、そちらでご確認をお願いいたします。
産業廃棄物収集・運搬課程(新規) |
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター |
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廃棄物管理士講習 |
公益社団法人 大阪府産業廃棄物協会 |
比較的早い時期に講習会の定員が満席となることが多いようです。
お早めの予約をお勧めいたします。